寿司寿司詐欺体験
これは私がサラリーマンをしてた時代の話なので、2000年代の前半のお話です。
突然の闖入者
ある日、いつもと変わらぬ感じでオフィスワークをしていた時のことだ。
11時前後だろうか・・・。板前の格好をした、おっさんが威勢よくオフィスに入り込んできた。
「いやぁーーーー。まいったまいった・・・。私はxx駅の裏で寿司屋をやっているものなんだが、電話を受けた息子が3人前のところ30人前分受けてしまって、寿司があまって困っている。通常1000円のところ500円にするので、どうだろうか?買ってくれないか?」
的な趣旨のことを対応したスタッフに喋っていた。
フロアはゆったりと40人ぐらい席がある規模だったが、一番奥にある私の部署にも良く通る声だった。
1000円の寿司がなんと500円!!
寿司といえば、今も昔も私の大好物である。
「え?まじ?寿司??寿司??」と奥から真っ先に飛んで行ったのは私である。
私「500円ですかーいいっすねー。握りですよね?」
おっさん「んあー。」
おっさんはYesではなく、どちらかといえば、適当な相槌のような返事をした。
この時点で怪しいと気づくべきであった。
結局、私含めて5人が購入
その闖入者の来訪に興味を持ったのは私だけではなく、数人がワイワイと「え?寿司?500円?」とぞろぞろおっさんの周りに集まってきた。
結局、私を含め5人ぐらいのスタッフが購入。
そのおっさんは売り上げを手にして、繰り返し感謝の言葉述べてオフィスから出て行った。
この時点ではまだ誰も疑ってもいない。
それからは、まったく仕事に身が入らない。
上司のくだらない小言をさっきの寿司屋の板前的に「んあー」と適当に交わし、
部署の会議中も考えることはお寿司のことばかり。
あぁ・・・、楽しみだーー。大トロ、中トロ、マグロ、びんトロ、えんがわ、いくら、うに、エビ、ハマチ、ブリ、サーモン。
どの子と邂逅できるのだろうか?いや、できることなら全員に会いたい。全員食べてしまいたい。
とはいいつつもたかだか1000円の売値の寿司。大トロ、ウニは無理だろうから、ワンチャン中トロぐらいは・・・あるいは。
と、今考えれば頭の中はお花畑が満開だっただ。。
開けられたパンドラの匣
そして、訪れたランチタイム。
「寿司だー、寿司だー。わーーい、わーーい」的な感じでルンルンで包装紙はがし、蓋を開けたら驚愕の風景が飛び込んできた。
「ふむふむ・・・。さすがに大トロはないか。ワンチャン有りだった、中トロもない。うに、いくらも然り。大好物のサーモンもない。マグロ、エビやらも白魚もないね・・・・・」
ハッとして、気づいたのだが、そこには一面に敷き詰められた細巻しかなかったのである。
正確には覚えてないが5x8ぐらいの細巻。
しかも、全部「かんぴょう巻き」なのである。
・・・ふつふつと湧いてくる怒り。
「ゆるせん!文句言ってやる!!!」
包装紙や割り箸の袋を見る。普通はお店の電話番号が書いてあるはずだ。
が、しかし、そこには店舗の情報などはどこにもなく、闖入者が言っていた、「xx駅の裏の寿司屋」をネット検索したが該当店はなし・・・。
その時に気付いてしまったのだ。
「これは詐欺じゃないのか?」
まさか、自分が詐欺に遭うとは思ってもなく、詐欺事件のニュースを見るたびに、「なんでこんなの引っかかるんだろう。バカじゃないのかな?」と思ってたら・・・。
なんと私がそのバカの仲間入りをしてしまった瞬間なのである。
自分が騙される側の人間とは思ってもなかった。
生産者には申し訳ないけれども、もともと、かんぴょうは食わないし、詐欺業者のものなんぞ、口に入れるなんてとんでもない。
私は一面のかんぴょう畑にそっと蓋をして、ゴミ箱にInしたわけだ。
が、人間いろんな考えをする人がいるもので、私の正面に座っている山根さんというおじさんは・・・
「うめーー、このかんぴょう美味い!!さいこーーー!」と喜んで、パクついておりました。
そして10年後、東京スポーツにて
それから、私は程なくして、その会社を退職。
さらに幾星霜の月日が経ち、そんなお寿司屋のことなんぞ忘れたある日。
日課の東京スポーツを買って読んでいたところ・・・。
「寿司寿司詐欺にご用心!!」的な記事が出ていた。
オレオレ詐欺という言葉が出てきた後なので、それを文字って寿司寿司詐欺、という言葉を使ったのだろう。
その「寿司寿司詐欺」という字面を見た瞬間・・・私は、まさかあの出来事か?と10年以上前に経験したことを思い出した。
ゴクリ・・・と生唾を飲みつつ、記事を読み進めると、まったく一緒!!!!!
私が経験したこととまったく同じ!!!値段も。手口も。まったく同じ!!!
気になって、検索してみると、同様の被害は多数あるようで、もはやその寿司詐欺の手口はテンプレート化しているようだ。
確か当時も検索したのですが、そういう情報は一切出てこなかったので・・・もしかしたら私は、
世界初の寿司寿司詐欺の被害者なのかもしれない!
光栄の極みである(笑)
冗談はさておき・・・これは警察とかの発表でもよく言われてることだが・・。
「私は詐欺に引っかかるわけない!!!!」と思っている人ほど、引っかかるので要注意である。
というわけで、御機嫌よう。