「強制」から「自主性」を重んじる世の中。「楽しくやろう」は果たして最適解なのか?
「強制」から「自主性」への変遷
最近は世の中の考え方が、「強制」から「自主性」を重んじる世の中へと変わってきたように思える。
「楽しくやろう」は果たして最適解なのか?
例えば、高校野球
高校野球。野球一本被りの昭和の時代から比べればその人気に陰りが見られてるとも言われれば、相変わらず甲子園は大人気のコンテンツと言える。
その甲子園を見ると白い歯を浮かべて楽しそうに試合をする高校球児が頻繁に見受けられるようになった。
ピンチの際にタイムを取ってマウンドに集まり、作戦会議をする緊迫したようなシチュエーションでも球児たちはニコニコとその瞬間瞬間を楽しむようにプレイしている。
昭和の頃だったら、国民総出で「けしからん!」と叩かれるような所業である。
「今の球児は笑いながら、野球をしている!何事か!」というような論調で、朝日新聞やらの社説にも取り上げられる話題だろう。
別の競技だが、私の記憶が確かならば、女子マラソンのオリンピック代表に選出された選手が、「五輪、楽しんできます」と会見したところ、叩かれたことがあったはずだ。
千葉真子さんだったような気もする。
「楽しむ高校球児」は平成中期から始まったような風潮に思える。
ストイック、スパルタ、強制、根性、
から
ゆるく、自主性、楽しく。自由。
という考え方に変わってきている。
関係ないが、「平成中期」という表現を自分でしつつ、「あぁそうか。平成は既に終わったんだな」と改めて実感してしまう。。
もちろん、高校野球に限らず、さまざまな分野にて「強制・根性」から「自主性・楽しく」という考え方に変わってきている。
部活から学校教育から会社から、ありとあらゆる場面でだ。
果たしてこの「自主性・楽しく」は最適解なのだろうか?
私の答えは「No」である。
全世界共通で、一番結果を求められる分野
国とか関係なく、全世界共通で「結果」が求められる組織。
それは軍隊である。
私の知る限り・・・ではあるが、日本で一番軍隊に近い組織である自衛隊や、世界の軍隊で、訓練等が「強制」から「自主性」にシフトしているなんて話は聞いたこと無い。
自主性。ゆるく。楽しく。が、本当に成果を出すことに一番近道ならば、世の中の軍隊が全てこっち方面にシフトするはずである。
が、おそらくそうではない。世界の軍隊はやはりスパルタ的であるならば、組織が成果を出すには、時代錯誤とも言われる、根性・強制・スパルタ的な教育が最適解なのだ。
「楽しく」のメリット
ならば「楽しくやろう」な考えはダメなのだろうか?
これはこれで良い側面がある。
- ストレス度が限りなく低い。
- 今までの常識を覆す新たな手法が生まれる。
- はまった時は「軍隊型」よりも高い効果を発揮する。
というのが、「楽しくやろう」型のメリットである。
ストレス度が低いのは長期的に観点では、非常に魅力的である。
高校の部活とかならば、比較的短期(2年半)なので、スパルタ式でも私はいいと思う。その辺は指導者の判断だが、会社とかになると長期的な展望が必要なので、その際はスパルタ型だとストレス過多になり、いわゆる「ブラック企業」と言われるような組織が誕生するのだ。
そして、自由があるので柔軟な発想が生まれる下地があるので、革新的な手法が生まれる可能性もある。
例えば高校野球では、5,6年前ぐらいに、東北の選手が誰もが思ったことがある作戦・・・「ファールで粘って相手疲れさせてしまえばいいんじゃない?」というバッティングスタイルを披露して脚光を浴びた。
これは野球をやる人ならば、誰も考えたことがあるだろう。
が、しかし、今まで実行する人が居なかったのは、
コーチ、監督から、「正々堂々としてない」「消極的」「卑怯」「今までにそんな考えは無い」などなどの理由で、怒られるから、場合によっては殴られたりの体罰を食らうから、実行しようとする球児が居なかったのだろう。
この東北エリアの選手がこの戦法を実践できたのは、監督がそのように柔軟で自主性を重んじる育成方法だったからであろう。と推測できる。
そして、「楽しくやろう」のメリットは、はまった時の成果は「強制」よりもはるかに高い、ということである。
また高校野球で恐縮であるが、2018年の大阪桐蔭高校なんかはまさにこれだろう。
勝つためにはどうすればよいか?を一人ひとりが考えて、良い案は実行していく組織になったのだ。
・相手を飲むために、筋骨隆隆に見せようと、1サイズ小さいユニフォームを着る
・攻守の入れ替え時に全力ダッシュをする
などなどだ。王者がまるで油断も隙も無ければ対戦選手はなす術もないだろう。
そんな大阪桐蔭の象徴となるべき自主性は「主力選手による交換日記」である。日々感じたことを主力選手らで当番制で日記を書くのだ。
もちろん、自主的に彼らが決めたことだ。もう凄まじいモチベーションである。
2018年の高校野球ではヒールな側面もあった大阪桐蔭だが、これはさまざまな組織の見本となるような、すばらしい組織だ。
数年後、映画化されてもいいだろうチームである。いや、予言してもいいかもしれない。この年の大阪桐蔭高校野球部はいずれ映画化するであろう。
それだけのモデルケースとしての価値がある。
2018年の大阪桐蔭高校野球部をモデルとした映画が今後30年以内に作られる可能性は70%である。
結論
というわけで、結論。
スパルタか、楽しくやるか。
組織作りにはどちらがいいか?と言えば、安定して成果を出すにはスパルタ型だ。
どんな人間が居ても一定の成果を出せる組織にできる。
ただ、一発があるのは「自主性・楽しくやろう」的な組織の方が最高到達点は高い。
競馬で例えると
スパルタ型は安定している、ディープインパクト産駒で、自主性型は安定感は無いが1発があって超大物が誕生する可能性があるステイゴールド産駒である。解る人には納得いく例えだ。
組織作りを生業としている人は・・・
私は専門化じゃないから、全く解らないが、組織作りとかコーチングとか、コンサルティングとか、その辺の生業としている方は、
ぜひ、「楽しくやって、ハマる」手法を体系化してもらいたいものだ。
これが確立できるならば、この世の中は更にいい方向へと進んでいくだろう。
もし仮に世界の軍隊が
仮の話だが軍隊が、楽しく自主性を、重んじるような育成方法を採る日が来るのならば、スパルタ式、強制する手法はこの世から消え失せると思うが、果たしてそんな日が来るのかどうかは、この私にも解らない。
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