eスポーツを学校の部活化する是非を考える

茨城県のとある公立高校にて

茨城県のとある高校でeスポーツを学校部活化する話が出ているそうで、それに対して教員たちからの反発もあるようだ。

コンピューターゲームで勝敗を競い合う「eスポーツ」を学校の正式な部活として採用しようと検討を進めている公立高校がある。校長は「生徒がやりたいなら拾い上げたい」と前向きだが、教員の間には根強い反対も。「部活でゲーム」は受け入れられるか-。
 業界団体の日本eスポーツ連合によると、eスポーツの競技人口は世界で1億人に上るとされる。国内でも人気は高く、新たな成長産業としての期待も高まっている。
 茨城県で開催される秋の国民体育大会で、初めてeスポーツの都道府県対抗戦が行われることもあり、県立大洗高校の猪瀬宝裕校長は1月、部設立を校内で提案。「部活は学校に来たくなる要素の一つ。生徒の楽しそうな姿を見るのは望ましい」と訴えた。2月には生徒や教員向けの体験会も開き、部設立への理解を求めた。
 だが、校内には根強い反対もある。教員の1人は「学校教育でゲームをすることに抵抗がある。大反対だ」と強調。公費でのゲームソフト購入などに強い抵抗感を持つ教員が複数いるという。
 昨年、eスポーツ部が発足した愛知県立城北つばさ高校の金子悟校長は「競技の際に部員が声を掛け合うなど、コミュニケーションが生まれた」と前向きに評価する。
 茨城県の柴原宏一教育長はeスポーツについて「ゲームかスポーツか、価値観の過渡期にある」と話すにとどまっている。

引用元:時事ドットコムニュース https://www.jiji.com/jc/article?k=2019031000165&g=soc

現実としては、既に全国も徐々にeスポーツを部活化している学校は増えつつあるのだとか。

eスポーツとは?

そもそも、eスポーツとはなんなのであろうか?

eスポーツとはエレクトロニック・スポーツのことであり、一言で表現すると「コンピュータゲーム」である。

なぜゲームなのにスポーツなのだろうか?

それはsportsに対する日本語的解釈が狭義で「体を動かす」競技ということで浸透しているからだ。
日本語ではスポーツ=運動だが、本来の英語の意味では、それも含んで、さらに「競技」という意味もある。

そしてeスポーツは現状、様々なプロ大会があり、プロ(文字通り、eスポーツで稼いで食べいている人)もいる。

昭和な私からすれば、夢のような話である。ゲームをやって生活できるだなんて・・・。(もっともそんな甘い世界ではないのだろうが・・・)

eスポーツについては、検索して調べてみて頂きたい。

eスポーツの部活化に反対する意見

私はどちらかといえば反対派だが果たして本当に反対すべきものかどうか1つ1つ考えてみたい。

というわけで、まずは
ネットからeスポーツの部活化に反対する意見を拾ってみた。

  • 所詮は遊びでしょ?
  • 楽しいだけのものを部活にしていいのか?
  • ゲームに耐えられるスペックのPCなど部活には高すぎるのでは?
  • 指導できる教師がいない
  • 課金ゲームが競技だなんて納得いかない
  • ゲームはメーカー次第。ルールはおろか、その種目(ゲーム)の存続もメーカー次第

反対意見が本当に正当性があるものなのか考えよう

では、一つ一つ考えてみたい。

仮にここであげた反対意見がクリアできればeスポーツの部活化の障壁は何も無いはずだ。

所詮は遊びでしょ?

これはそうかもしれないが、野球、サッカー、将棋や囲碁だって遊びでもあるし競技でもある。
コンピュータゲームも遊びでもあるし、ちゃんとルール化されてそれが競技となるのであれば問題ない。

したがって、これは覆される。

楽しいだけのものを部活にしていいのか?

日本人は、苦しんだり、つらい思いをするのが美徳とする文化がある。
また、穿ったことを言えばそれを「観る」て楽しむという文化が少なからずある。

ゲーム=楽しい・・・、つまり楽しいだけのものを部活と言えるのだろうか?

という古い考えからの否定であろうが・・・。最近は甲子園球児でもにこにこ白い歯を見せながらプレイに興じている。
平成中ごろぐらいから、「ストイック」から「楽しく」にシフトしてきている。それの是非はまた別の機会に私の意見を書こうと思うので、ここではおいておく。

この件は何とも言えない。
というのもeスポーツが楽しいだけかと言えば、それを断ずるには私には情報が少なすぎる。

予想ではあるが、プロゲーマーの人はそんなに楽しい日々ではないと思う。周りが遊んでいる時間も惜しんで修練(ゲーム)に費やしているはずだからである。
「いや、修練っていってもゲームじゃん?」と言われるかもしれないが、それは私は違うと思う。勝つために研究して己を昇華させているのだ。
我々一般市民が余暇でやるゲームとは全く違う。

関係ないが、私の大好きな FamilyDefense3もeスポーツ化しないだろうか・・・。
そしたら私がゲームで食える可能性が出てくるのだが・・・。

いや、FamilyDefense3は好きだが、私自身はヘボプレイヤーだ。だから、何年も楽しめるのだ。

ゲームに耐えられるスペックのPCなど部活には高すぎるのでは?

これは簡単に覆せるであろう。
なぜなら他にもっと高い部活はあるからだ。

剣道部なら一式で5-15万円ほど(多分)

そして、高額部費の王様といえば、吹奏楽部である。

高い楽器は数十万円から中には数百万円するものも。

さすがに、数百万円のものを高校部活の個人で所有することは無いだろうが、メンテ費もそれなりに掛かると推測できる。

ちょっと前に話題になった小説「羊と鋼の森」ではピアノ調律師が主人公だったが、そのピアノ調律も1回1万5千円ぐらいするようだ。

演奏者人口が多いピアノでこれぐらいかかるのだから、マニアックな楽器ほどそのメンテ費用は掛かりそうだと思われる。

というわけでゲーム用のパソコン1台10-20万は安くはないが、かといって吹奏楽に比べれば廉価と言えるのではないか?

したがって、これも的を得てない批判である。

指導できる教師がいない

確かにこれはいえるかも知れない。

指導できる教師はまず居ないだろう。文化的に新しいものだし、こういうものは子どもの方が詳しいからだ。
ただ、中にはゲーマーな教師はいるだろうが、それでも子どもの方が強い・上手だろう。

ただ、世の中の部活には名ばかりの顧問の存在も多々いるわけだ。

これを否定してしまったら、世の何百、何千の部活が潰れてしまう。

したがってこれも批判・NGな理由としては説得力が無い。

課金ゲームが競技だなんて納得いかない

これを聞いて耳を疑ったが、課金ゲームがeスポーツの対象になってるそうだ。

さすがにそれは駄目だろう。

将棋で言えば、お金を持っているユーザが無尽蔵に飛車、角、金、銀をストックしておけるようなものである。
野球・サッカーで言えば、お金を持っているチームがフィールド選手を3,4名増やせるようなものだ。

さすがにそれは駄目だと思う。

ただし、この件については課金ゲームを部活の対象から外せばいいので、説得力はそれほど強くは無い。

ゲームはメーカー次第。ルールはおろか、その種目(ゲーム)の存続もメーカー次第

これはeスポーツ特有のものではないか?

野球、サッカー、囲碁、将棋、色んなプロ競技でも下地となるルールは歴史があり、世界共通といえる。
そして、細かいルールの変更などは、それぞれの協会・委員会的な機関で審議されて施行されるかどうか決まるのだ。

例を挙げると、

  • 野球で言えば、ストライク・ボール・アウトの表示順変更
  • 将棋、対局中に電子機器の携帯不可
  • 囲碁、先手のハンデが5.5ポイントから6.5に変更
  • サッカー。VTR判定の導入

などなどである。
これはどれも熟慮して話し合いが多々もたれた上での決定である。

対して、eスポーツはというと、ゲームの開発会社・運営会社の独断でルールの変更(アップデート)が行われるわけだ。
前述の伝統競技などは、「今現在、このルールについて検討中で、近い将来変わるかもしれない」ということがあらかじめ競技者や聴衆にも告知はされる。

eスポーツはそのあたりブラックボックスといえる。
そして何より一番懸念されるのは、サーバー型のオンラインゲームの場合、会社都合でそのゲームが中止され、以後二度とプレイできなくなるという可能性がある。

この辺は公平で恒常的なスポーツといえるのだろうか?
eスポーツが伝統的な競技と決定的に違うのはこのあたりではないか?

現時点での私の考え

eスポーツの学校部活導入は賛成はできない。

私はもう残念ながら古い人間かもしれない。

理由の一つとしてはやはり遊びの延長と捉えてしまうからだ。

そしてもう一つ。
やはり中学生・高校生の頃は、部活に入り、それに打ち込み、苦労や困難・嫌なことも経験しつつ、何かを達成することは非常に重要な経験である。健やかな人格の育成にそういうことは大事なエッセンスのひとつである。と思っているからだ。

今後、eスポーツの浸透度や社会の中で扱いによって考えは変わるかもしれない。が、現時点では部活導入は否定的だ。

eスポーツはどうすれば社会の認知が得られ、浸透していくか?

日本におけるeスポーツの認知度は非常に低いのが現状である。

ではどうすれば、社会に認知され支持を得られるのだろうか?

似たようなスポーツ新興スポーツの例

この今のeスポーツと似たような現状だったスポーツをご存知だろうか?

1998年から冬季オリンピックの種目になったスノーボードである。
当時からスキーと対比されて、スノボはファッション感覚に近かったかもしれない。

当時の若者からすれば、スキー=ださい、古い、おっさんくさい的なイメージが少なからずあった。
大体当時今風の若者はスノボ派である。

そしてスノボといえば、2006年トリノでは女性ボーダーがラップを歌って登場したり、2010年バンクーバーでは、着こなしの問題で注意を受けた男性ボーダーが記者会見で反抗的な態度を見せて話題になった。

競技よりもスキャンダラスな面がクローズアップされてはダメだと思う。
特に新興競技においては尚更で、それの先駆者の行動が世間的なイメージに繋がってしまうからだ。

既にeスポーツではテレビ番組に出た選手が他の競技を軽んじるような発言をして物議を呼んでいる。

そんな中、2018年秋ごろには元テニスプロの杉山あいさんによって「プロアスリートから学ぶプロの心得」という講演が、プロライセンスを持つeスポーツの人たち向けに開催されたとのこと。

こういう試みの積み重ねが大事なことだと思う。

eスポーツの先駆者がまず世間から支持されれば、後進も入りやすいし裾野が広がり認知もされていく。

別に過度に品行方正にする必要は無いが、炎上されるようなことや、叩かれるようなことはNGである。

炎上商法という手段はあるが、素人がそれを選択して成果をあげるには中々難しい。

言葉のプロである、かつてのフジテレビアナウンサーの某氏もそれで失脚したのだ。

少しでも早く、eスポーツが世間に浸透するにはそういう先駆者たちの行動で脚を引っ張るようなことがあってはならない。
そこは気をつけるべしだ。

ジャンルは全く違うが、仮想通貨元年とされた2017年だが、コインチェックのNEM大量流出事件で、仮想通過=悪=詐欺、などのイメージが付いてしまった。
これで少なくとも日本における仮想通貨業界は数年~10年ぐらい停滞するのではないか?

それだけ黎明期の今が大事なのである。

そんな中、高校生のeスポーツ全国大会が開催

今月の23、24日で幕張メッセにて「第1回 全国高校eスポーツ選手権」が開催される。

eスポーツの甲子園的なものを今後目指していくのだろう。新聞社がスポンサーになったり優勝特典があったり、だいぶ商業ベースな大会で甲子園とはかけ離れてるかもだが、こういうことは分野の発展に必須なことで業界にとっては非常に良いことである。

今後、どうなってくか、個人的にも興味があるので、注目してみたい分野である。

あと、私、eスポーツとかオンラインゲームの経験はほとんどないが、

「playerunknown’s battlegrounds」という映画バトルロワイヤル的なゲームはやってみたいと思ってるのだが・・・・。
そして、一度やってしまったら、とりこになってしまうかもしれない。

いや、多分それは無いだろう。熟練プレイヤーに瞬殺されまくってゲームの面白さがわからないうちに、脱落してしまう方が濃厚か。

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